100年先へ、想いを写す

フリーランスのカメラマン、コミュニティマネージャーとして活動する奥野浩次さん。その核にあるのは、高校時代から情熱を注ぎ続けている「弓道」だ。奥野さんは現在、世界で唯一の「弓道写真家」として、弓道の普及と魅力発信に心血を注いでいる。その活躍は幅広く、自身の写真展の開催、テレビ番組やCMでの技術監修、さらには大手企業のCMに奥野さん自身が弓道をする場面で出演したこともある。
「カメラマンとしての原点は、学生時代に独学で始めた風景写真でした。しかし、自分にしか撮れないものは何かと考えたとき、行き着いたのが弓道でした。弓道を知り尽くしているからこそ切り取れる一瞬の美しさがあります。それを形にして、100年先まで色あせない作品として残したいと考えています」
相手を深く理解する姿勢

奥野さんの作品の特徴の一つは、実用新案も取得している「和紙へのにじみのない印刷技術」だ。データ社会だからこそ、和紙の質感を生かしつつ、武道の持つ細部まで空気感を表現している。その情熱は国内に留まらず、ウィーンやメルボルンでも個展を開催。弓道を知らない人々が、奥野さんの写真を見て「弓道を始めてみたくなった」と連絡をくれることが、何よりのやりがいだという。
一方、コミュニティマネージャーとして、企業や起業家を繋ぐ役割を担う。全く異なる2つの職種だが、共通して根底にあるのは「相手を深く理解しようとする姿勢」だ。「どんな仕事でも対人関係が基本で齟齬がないよう徹底的にヒアリングを行い、相手の要望を自分の中で咀嚼して最適解を出す。この力は、中部大学の国際関係学科で学んだ経験が大きく影響しています」
原点での学びを糧に、次なる挑戦へ

学生時代は弓道部に所属し、仲間と共に3部リーグから1部昇格を果たすという実績を残した。ゼミでは高英求先生(国際学科)のもと、厳しい中にも活気ある議論の中で思考力を鍛えた。「ディスカッションでは誰よりも先に手を挙げる」という当時の習慣が、現在の主体的な働き方に繋がっている。
今後の目標は、世界中で個展を開き、弓道の精神性をグローバルに広めることだ。忙しい日々の中でも、イメージトレーニングを含めた「弓道の練習」を欠かさない。それは奥野さんにとって、自分自身を研ぎ澄ます大切な時間でもある。
信頼できる「相棒」と「仲間」を
後輩となる学生の皆さんへ、自身の経験を交えながらメッセージを送る。
「道具を選ぶときに最新のもの、値段が高いものが常に最良のものであるとは限りません。大切なのは自分に馴染み、心から『信頼』できるものを選ぶこと。それが最高の結果に導いてくれます。そして、とにかくたくさんの友人や知り合いを作ってほしいです。大学の4年間は、小中高とは異なり、自分の意志でいくらでも世界を広げられる自由な時間です。そこで出会った仲間や経験は、その後の人生において大きな財産になります。中部大学というチャンスに溢れた環境を最大限に活用して、自分の可能性を広げてください」
- ウプト237号(2026年5月31日発行)より転載
