研究室を見てみよう!

お知らせ

    環境生物科学科 坂野弘美研究室

    私たちの研究室では、植物細胞を使った産業への応用を研究しています。私たちは、ある園芸種から誘導した培養細胞を使った実験をしています。この細胞は、組織片から植物ホルモンによって分裂を誘導しましたが、細胞間接着が非常に弱く、容易に液体培養することができます。現在では細胞生物学的研究により、タンパク質の分泌配列が同定されているため、その配列を目的のタンパク質に融合した遺伝子をこの細胞で発現させることにより、培地中に分泌させることができます。現在、製薬企業との共同研究により、この細胞を使って、有用タンパク質を生産させる研究を行っています。植物の培養細胞はコストが非常に安く、これまでマウスに生産させていたタンパク質を植物細胞で生産できれば、特定のタンパク質を作るためにマウスを殺す必要もなくなります。

    この細胞にはもう一つ異常な性質があり、培地中の炭素源(糖)が枯渇すると緑化して光合成を行うようになることがわかりました。この細胞は、ほぼ100%の二酸化炭素中でも生きられることが分かっています。植物の組織は、植物体中で役割分担をしています。その中で、葉肉細胞は光合成量の大部分を分担しており、細胞のエネルギー源となるその生産物の糖を体の各部に送っています。もし、葉肉細胞を大量培養できるならば、その生産物の使い途がなく、私たちに与えてくれるかも知れません。現在、地球温暖化は人類にとって重大な脅威であり、その原因とされる二酸化炭素の排出を抑制する必要がありますが、そのためには、化石燃料の代替エネルギーが必要となります。もし、光合成産物を直接、エネルギーに変換できるならば、人類の救世主になる可能性があります。糖を化学触媒を用いてより効率の良い燃料に変換される技術が開発されていますが、我々の細胞が効率よく糖を排出してくれればその有機化学的な技術を活かせるかも知れません。

    研究室紹介(坂野弘美教授)
    研究室紹介(坂野弘美教授)
    研究室紹介(坂野弘美教授)
    研究室紹介(坂野弘美教授)

    環境生物科学科 堀部貴紀研究室

    サボテンが地球を救う!?

    皆さんはサボテンがこれまで人の生活を支え、環境を改変し、またこれから世界を変える可能性を秘めていることを知っていますか?
    サボテンは高温や乾燥など環境ストレスへの耐性が非常に高く、ほかの植物が栽培できないような過酷な環境でも栽培ができるなど、大きな可能性を秘めた植物(作物)です。ウチワサボテンの果実や茎は野菜や家畜飼料、加工品として世界の広い地域で消費され、医薬品や化粧品の原料にも使われています。またその著しい乾燥耐性が注目され、近年では砂漠化や土壌侵食の防止にも利用されています。
    当研究室では、サボテンの環境耐性機構の解明、地球温暖化防止への利用、栽培技術の開発など、「サボテンの秘密を明らかにし、さらにそれを社会に役立てる」ことを目指した研究を行っています

    研究室紹介(堀部貴紀准教授)
    研究室紹介(堀部貴紀准教授)

    サボテンがもたらす持続可能性 ―サボテンの力を地球温暖化緩和に活用―

     サボテンは空気中の二酸化炭素(CO2)の一部をバイオミネラル(CaC2O4)の形で体内に蓄積します。通常の植物は、植物体が枯れると体内に固定されたCO2は再び空気中に戻ってしまいますが、上記の性質によりサボテンは枯死した後も長期間にわたり炭素を固定できます。つまり、サボテンはCO2の長期固定などの脱炭素技術に活用できる可能性が十分にあります。私の研究室では、バイオミネラルの形成メカニズムや生体内での機能、環境条件との関連性、効率的な炭素固定技術の開発などを実施しています。

    研究室紹介(堀部貴紀准教授)
    表皮組織近傍に観察されるバイオミネラル
    研究室紹介(堀部貴紀准教授)
    サボテンから抽出・分離したバイオミネラル

    生産性・機能性・持続性を向上させる栽培技術の開発

    当研究室ではサボテンの栽培技術の開発も行っています。これらには、水耕栽培や栽培環境制御による生産性・機能性の向上技術や、有機栽培による環境負荷低減等が含まれます。当研究室の研究成果は、カンボジア地雷原の復興事業(サボテンの栽培技術をカンボジア農村部に普及させ、商業化し、地域の生活水準を向上させる事を目的)にも役立っています。
    サボテンは明確な環境耐性、栽培の容易さ、用途の広さなど、気候変動に対応した持続可能な食料システムの構築に求められる性質を数多く備えています。様々な目的に応じた栽培技術が開発されることで、サボテンの世界的な利用が推進されます。

    学生さんへ:多様な視点で物事を見よう!

    当研究室では「市場から遺伝子まで」をスローガンに、農家・企業人・自治体職員・国際機関職員・研究者・政治家など、多種多様な人たちとコミュニケーションを取りながら研究や事業を進めています。扱う研究テーマや活動も、地域の活性化から遺伝子の機能解析まで多岐に渡ります。
    様々な視点で物事を捉えることで、新しい発見があります。型にはまらずに、自由な発想で活動すると良いと思います。まずはぜひ、「夢中になれること」を見つけて下さい。

    研究室紹介(堀部貴紀准教授)
    春日井祭りでサボテン学習コーナーを出展
    研究室紹介(堀部貴紀准教授)
    サボテン料理の試食会(レシピ開発)

    環境生物科学科 武井史郎研究室

    研究内容:「身近な川魚から深海魚まで、いろいろな魚のかたちを研究する」

    当研究室は様々な環境に生息する魚類を対象とした魚類生物学の研究を行っています。日本は世界でも有数の魚大国です。世界の魚全体の約1/10の種類が日本の海や川に住んでいます。産業的・文化的にも、魚は日本人になじみの深い生き物です。一方で、生物学としての魚の研究は、実は国内外含めてまだまだ未知なことにあふれています。当研究室では淡水魚、海産魚、深海魚、熱帯魚、養殖魚、さらには魚以外の水生生物も含めて、いろいろな生物の「かたち」を観察する、形態学の研究を主に行っています。

    現在は、主に以下3つのテーマを行っています。

    • 「機能形態学研究」… からだの構造を調べてその機能を考えます
    • 「質量顕微鏡法解析」… 体内のいろいろな成分を顕微鏡と組み合わせて細胞レベルで調べます
    • 「新規透明標本作製法の開発」… 体内の構造や異物(プラスチック等)を立体的に観察します

    これらの研究を通じて、水生生物学、水産学、博物学、環境科学、教育学等への貢献を目指します。

    研究室紹介(武井史郎講師)
    身近に生息しているコイの眼にも、実は新しい発見があります。
    研究室紹介(武井史郎講師)
    透明標本はからだを透明にして、内部の構造を観察します。

    研究活動:「活動の場は実験室、そしてフィールド」

    当研究室では、教員と学生たちがそれぞれ、いろいろなフィールドに駆け巡って生物を手に入れて、実験室では丁寧に実験する、フィールドサイエンスとラボサイエンスを融合した研究活動を行っています。フィールドとしては、愛知県内外の河川、実習船に乗船する調査航海、市場での買い付け、水族館との連携など、様々です。実験室では採集した魚を用いて解剖や顕微鏡観察などを行います。実験室ではまた、海水魚と淡水魚の飼育設備を備えており、必要に応じて飼育実験も行っています。

    研究室紹介(武井史郎講師)
    貴重な深海ザメ「ラブカ」を解剖しています。
    研究室紹介(武井史郎講師)
    研究室の水槽で海藻と一緒に飼育している「クロイシモチ」です。

    外部機関との連携:魚の「おもしろさ」を伝えていく

    当研究室では標本の入手や共同研究などにおいて、他大学などの外部機関との連携を積極的に行っております。近年は特に、水族館や地域の皆様との連携も推進し、展示用標本の寄贈やイベント等の参加活動も行っています。これらの活動は教員だけでなく学生の皆さんも積極的に参加してくれるので、生き物の魅力をわかりやすく伝えてくれています。魚や水の生き物たちの「面白さ」をより多くの皆様方に伝えられるように、研究室一丸となって積極的に活動を行っています。

    研究室紹介(武井史郎講師)
    調査船に乗船し、海洋生物の採集を行います。
    研究室紹介(武井史郎講師)
    水族館のイベントに参加し、透明標本の展示と紹介をしています。