ワインプログラム
ウイルスに非感染な甲州ブドウ樹の作出と栽培―上質なワインの醸造をめざして
- 中部大学 応用生物学部 特定教授 町田 千代子
- 合同会社はやぶさファーム
- 株式会社富士山ワイナリー
- フジクレールワイナリー株式会社
- マルス山梨ワイナリー(本坊酒造株式会社)
2013年「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的和食ブームと共に、甲州ブドウで醸造した柚子の香りがする日本産のワインが注目されています。現在、ワインの品質をさらに向上させるためには、いまだ日本では確立されていないウイルスに非感染な甲州ブドウ樹の作出と安定的供給が重要な課題として残されています。中部大学は、これまでに成長点培養によるウイルス非感染ブドウ苗の作出と、ウイルス検査の確立を行って来ました。さらに、温室で育てたウイルス非感染苗に実った糖度の高い甲州ブドウを用いた試験醸造を行い、ウイルス感染樹に比較してまろやかな味と香りのワイン醸造に成功しました。また、現在、詳細な化学分析も行っています。今後は、圃場で栽培したウイルス非感染甲州からブドウを収穫し、これまでにはないアロマを持つ上質なワインの醸造を目指します。そのために、分野の異なる研究者、農業経営者、ワイナリーが一体となり、知恵を結集してプロジェクトに取り組んでいます。
日本酒プログラム
フヨウの花の天然酵母を用いた日本酒「白亞(はくあ)」の開発
- 中部大学 応用生物学部 准教授 金政 真
- あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター
- 東春酒造株式会社
日本酒(清酒)は我が国の伝統的な醸造酒であり、カビの一種である麹菌 Aspergillus oryzae および酵母Saccharomyces cerevisiae という2種類の微生物を同時に制御しながら醸造する並行複醗酵と呼ばれる高度な製法が特徴です。酵母はアルコール醗酵を担うことから、日本酒に限らず世界の多くのお酒の製造において極めて重要です。中部大学では、これまでにフヨウの花から醸造特性に優れた天然酵母を分離し、あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区)の協力のもと、この酵母を用いて東春酒造株式会社(名古屋市守山区)にて2016年から試験的醸造を行ってきました。酵母の分離源であるフヨウの花言葉は「しとやかな恋人」graceful lover「繊細な美しさ」delicate beautyです。第三回試験醸造を機に、この中部大学のお酒を「白亞(はくあ)」と命名しました。生産規模は年間500本~1,200本(4合瓶)で、株式会社中部大学サービスにて販売されています。
両プロジェクトの参加メンバーなど
- 中部大学 応用生物学部 特定教授 町田 千代子研究室(プロジェクトリーダー)
- 中部大学 応用生物学部 教授 堤内 要研究室
- 中部大学 応用生物学部 准教授 金政 真研究室
- 中部大学 応用生物学部 准教授 小島 晶子研究室
- 中部大学 応用生物学部 准教授 金丸 京子研究室
- 中部大学 応用生物学部 客員教授 福田 雅夫
- 中部大学 応用生物学部 客員教授 塚本 義則
- 中部大学 客員教授 三輪 錠司