高分子系複合材料研究室

お知らせ

    守谷せいら講師

    講師:守谷せいら
    研究室:14号館3階
    専門分野:高分子化学/材料化学
    趣味:親バカ

    研究キーワード

    有機・無機複合材料/高分子構造・物性/環境関連高分子

    学べることは?

    高分子の合成および高分子系複合材料の合成と構造・物性評価

    当研究室では、高分子と「なにか」から成る高分子系複合材料の研究を中心に高分子系材料に関するさまざまな研究を行っています。高分子の合成や高分子系複合材料の作製,作製した材料の構造解析および物性(力学、熱、電気等)評価を行います。高分子と組み合わせる「なにか」や、それらの複合化方法等を検討することにより、従来の材料と比較してより優れた機能・性能,新しい機能・性能を発現させることを目的とします。当研究室では、材料の作製から構造・物性評価までを一通り行うため、自分が作製した材料の機能・性能を実感することができます。さまざまな高分子とさまざまな素材を組み合わせ,最適な条件で複合化することで,自動車,航空・宇宙,電気・電子,医療,食品等の多彩な産業で活躍できる材料の開発を行います。

    研究室からのメッセージ

    金属やセラミックスなどの他の材料と比べて,プラスチックやゴムなどの高分子材料は弱い,柔らかい,そんなイメージがありませんか?実は,高分子材料でも金属より強い高分子系材料があるのです。それが「高分子系複合材料」です。高分子系複合材料は,高分子(プラスチックやゴム)に他の素材を混ぜることで,新しい優れた特性を発揮することのできる材料です。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)って聞いたことありませんか?これは高分子に炭素繊維を入れて固めたものです。このCFRP,なんと鉄の4分の1の軽さで鉄の約5倍もの強さを持っているのです。しかも金属のように錆びないし,衝撃に強い,熱や電気をよく伝える,変形しにくい,などなど,とても優秀な材料です。その優れた性質を活かして飛行機や自動車,自転車やスポーツ用品などで用いられています。つまり,高分子は高分子でも,他の素材と組み合わせることで,みなさんがイメージする高分子材料とは全く異なる,これまでにない機能・性能をもった新しい高分子材料,「高分子らしからぬ新高分子材料」を作ることができるのです。 人間も、個性の異なる他人が力を合わせれば一人では成し得ないことを成し遂げることができます。研究室メンバーと共に切磋琢磨しながら研究を行い、これまでにない新しい材料を作ってみませんか。世界に向けてアピールできるような新しいことにチャレンジしてみませんか。興味のある方はぜひぜひ研究室をのぞきに来てください。

    研究例

    ナノカーボンを活かした高機能・高性能高分子系ナノ複合材料の開発

    ナノカーボンというのは,カーボンナノチューブやグラフェンなどのカーボン(炭素)から成るとても小さな素材で,非常に優れた力学物性や熱物性,電気特性を有しています。これを高分子に入れることでナノカーボン由来の優れた物性を付与します。しかし,ただ単に混ぜるだけではうまく混ざらず,ナノカーボンが凝集したり,ナノカーボンと高分子との間に隙間ができたりします。すると,せっかく優れた素材を混ぜているにも関わらず,欠陥が生じて物性が低下してしまいます。そこで,高分子とナノカーボンとの相性を高めるための新しい手法(ナノカーボンの表面改質など)を開発します。これにより,高分子中におけるナノカーボンの分散性や複合材料の構造を制御し,ナノカーボンの優れた物性を十分に引き出します。これまでの報告例にはないごくごく少量のナノカーボン添加により,高分子だけでは得られない卓越した力学物性,耐熱性,電気伝導性,放熱性などの高機能・高性能を実現します。

    天然由来高分子を用いた環境調和型機能材料の開発

    高分子にはさまざまな種類がありますが,その中には天然由来の高分子があります。みなさんの体を構成するタンパク質も高分子の仲間です。最近注目を集めている天然由来高分子素材としてセルロースナノファイバーというものがあります。これは,植物の細胞壁を構成しているとても細い繊維(繊維径=数nm~数十nm(ナノメートル))です。重さは鉄の5分の1でありながら,強度は鉄の5倍という驚異の素材です。他の高分子にセルロースナノファイバーを充てんする,あるいはセルロースナノファイバーに他素材を充てんすることによって軽量で優れた機能・性能を有する新規材料ができます。セルロースナノファイバーを用いた場合は,その優れた強度を活かして,輸送機器の省エネ化を目指した各部材の軽量化を実現することができます。セルロースの他,キチン,キトサン,コラーゲンなど,さまざまな目的に合わせた環境調和型機能材料を開発します。

    導電性高分子を用いた高導電性高分子系複合材料の開発

    タブレットやスマートフォンなどの基幹材料である透明導電材料として、これまでは主に無機材料(ITOなど)が用いられてきました。しかしながら、無機材料は脆いため、ウェアラブルデバイスなどへの応用には適していません。そこで、柔軟な高分子でありながら導電性を有する導電性高分子PEDOT:PSSは注目を集めています。当研究室では、導電性高分子の構造制御や他材料との複合化などを行うことにより、導電性効率を上げると同時に諸物性の向上させる新しい技術を開発し,柔軟でフレキシブルな高導電性高分子系複合材料を実現します。

    ☆実験中の様子(真面目バージョン)はこんな感じです。