環境化学工学研究室

お知らせ

    二宮 善彦教授

    教授:二宮 善彦
    研究室:14号館4階
    専門分野:エネルギー化学工学/環境プロセス化学
    趣味:スポーツ

    研究キーワード

    バイオマス/石炭/クリンカトラブル/灰付着/CO2削減

    学べることは?

    1. 石炭などの化石資源、バイオマス、廃棄物など、種々の炭素系資源を、高効率かつ環境と調和した利用法
    2. マイクロバブルオゾンや固体吸着剤などを利用した河川、工場排水の水質浄化法

    「エネルギーの有効利用と環境保全」をキーワードに、種々の炭素系資源の高効率・環境調和型利用法に関する研究、河川・工場排水の水質浄化に関する研究、などを実施しています。

    2006年度からは、学科・学部横断(工学部の他の学科および応用生物学部)で、さらに国土交通省庄内川河川事務所、愛知県河川課と共同で、庄内川の浄化に関する「河口域の浄化・修復を目指した新しい物質循環サイクルの創成」プロジェクトに参加しています。

    最近の研究テーマ

    1. 石炭燃焼から発生する粒子状浮遊物質(PM2.5)の生成機構の解明とその低減法に関する研究
    2. 廃棄物熱処理プロセスにおける塩素の挙動解析と塩素化合物の低減法の確立
    3. 石炭気流層ガス化炉における溶融スラグの挙動解析
    4. CCSEM(Computer Controlled Scanning Electron Microscopy)による石炭/下水汚泥中に含まれる重金属を含む無機粒子群の定量分析法の開発

    研究室からのメッセージ

    石炭は、石油や天然ガスに比べて埋蔵量が豊富で広範囲に存在しており、その可採埋蔵量が2005年の生産量で155年以上あるといわれている大切な有限資源の一つです。わたしたち人類は、石炭を高効率で環境に対してクリーンに利用する必要があります。過去の公害問題から、石炭の燃焼排ガス中のSOx、NOx煤の低減に関して優れた除去技術が開発され実用化されてきました。

    しかし、大気環境を保全するため、燃焼排ガスからの微量金属類の除去を含め、より高度な排ガス処理が、現在、求められています。さらには地球温暖化ガスの一つである二酸化炭素の低減など、新しい地球環境問題が発生しています。

    これらの問題は、我が国のみで解決できる問題ではなく、アジア地域の国々、さらには世界の国々と一致協力して、新しい技術を創成していく必要があります。当研究室には、現在、中国から博士研究員や博士課程の学生、修士課程の学生もいます。

    若い皆さんと一緒に、少しでも地球の環境浄化に貢献できればと思っていますので、是非、一緒に研究をしませんか。

    研究例

    1.石炭中の鉱物粒子や燃焼灰粒子の新しい化学形態分析法に関する研究

    元素分析付き走査型電子顕微鏡と画像処理技術とを組み合わせ、1~100μmの微粒子の1個1個の粒子径や粒子形状、その粒子の元素分析を行い、一晩で約3000個の粒子の自動分析を行っています。

    SEM-EDS/CCSEM instrument

    この分析により、数千個の石炭中の鉱物粒子や燃焼後のフライアッシュ粒子1個1個が、どのような大きさの粒子であるのか、またどのような元素が含まれているかがわかります。また、石炭に含まれる鉱物を、石炭中の断面BSE(Back Scattering Electron)写真が示すように、石炭炭素質中に存在する鉱物粒子(Included mineral)と炭素質と独立して存在する鉱物粒子(Excluded mineral)に分類しています。
    例えば、中国の石炭を分析すると、数μmのカオリナイトなどの粘土鉱物粒子やパイライト(FeS2)粒子が多いなどのことがわかります。また、フライアッシュを分析すると、1個1個の粒子の化学組成の分布などを測定できます。本測定を行っている研究機関は、世界でも十カ所程度に限られています。本研究室には、オーストラリア、カナダ、中国などの研究機関からの分析依頼があります。

    Alt	石炭粒子を樹脂で固めて研磨し、走査電子顕微鏡で観察。
    Alt 石炭粒子を樹脂で固めて研磨し、走査電子顕微鏡で観察。
    黒い部分:樹脂、白い部分 鉱物粒子 灰色:石炭粒子
    燃焼後のフライアッシュ
    燃焼後のフライアッシュ

    2.石炭燃焼からの粒子状浮遊物質(PM2.5)の生成機構とその低減に関する研究

    微粉炭燃焼設備では、燃焼炉において発生した無機粒子(フライアッシュ)の中には、電気集塵機、排煙脱硫装置を通り抜け、煙突から排出される微粒子が存在します。このうち1μm以下の粒子は、肺胞など気道より奥に付着するため、生態への影響が大きく健康影響との関連が懸念されています。本研究では、2.5μm以下の粒子状浮遊物質(PM2.5)を減らすための研究とそのメカニズムに関する研究を行っています。

    石炭燃焼に伴う大気汚染の実例
    石炭燃焼に伴う大気汚染の実例 中国河南省の大唐安陽発電所
    (朝9時、2007年)
    カスケードインパクターで捕集された粒子状浮遊物質
    カスケードインパクターで捕集された粒子状浮遊物質