研究例紹介:只木研究室

お知らせ

    情報セキュリティ

    アルゴリズム的ランダムネスの立場から情報セキュリティについて研究しています。

    • 証明可能安全性
    • 暗号プロトコル
    • 暗号化状態処理
    • 個人情報保護
    • 暗号技術の操作主義的完全化

    量子コンピュータ

    量子調和振動子を基本要素とする、全く新しい原理に基づく量子コンピュータについて研究しています。通常の量子コンピュータは計算量理論をバックグラウンドに持ちますが、この量子コンピュータは計算可能性の理論(ヒルベルトの第10問題)をバックグラウンドとしています。通常の量子コンピュータとは異なり、この量子コンピュータでは、計算の進行が量子系の時間発展と対応していません。これにより、通常の量子コンピュータで実現の障害となっているデコヒーレンスは、全く問題となりません。従って、この量子コンピュータは、外界との相互作用が強い常温にある固体の素子でさえ、障害なく実現可能と考えられます。この研究には、特別な帰結があります。さて、我々人間が行っている日々の数学的活動、あるいは、現用のコンピュータによる自動定理証明/対話型定理証明において、論理式Fが証明可能であることを示すためには、まずその証明を書き下すことが通例です。しかし、果たしてそれは必須のことでしょうか?証明を書き下すこと無しに、証明可能性を示すことはできないのでしょうか?我々の量子コンピュータモデルに基づいて考察を行うと、証明可能性を示すことと、証明を書き下すこととは、別のことであることがわかります。すなわち、証明を書き下すことなく、証明可能な論理式Fの証明可能性を示すことが可能なことがわかります。

    確率概念の操作主義的完全化

    確率概念は、科学技術のほとんど全ての分野で重要な役割を果たします。しかしながら、現代数学では、確率論とは測度論のことであり、“確率概念”の操作的な特徴付けは、いまだ“確立”されていません。すなわち、“確率”とは操作的にはどのような概念なのか?この点が不明確なまま、科学技術のさまざまな分野で、確率モデルの利用などを通じて、確率概念が広く用いられているのです。当研究室では、アルゴリズム的ランダムネスの概念装置に基づいて、確率概念の操作的特徴付けを提示し、確率概念の明確化ならびに完全化を行っています。

    量子力学の完全化

    上述の確率概念の操作主義的完全化を量子力学に適用することで、量子力学の完全化を行っています。量子力学では確率概念が本質的な役割を果たします。この確率概念は、波動関数の確率解釈(ボルン則)により量子力学に導入されています。しかしながら、量子力学を記述する今日の数学では、確率論とは測度論のことであり、ボルン則が基づく“確率概念”に関して、操作的な特徴付けは見当たりません。すなわち、確率とは物理的にはどのような概念なのか?この点が不明確なまま、ボルン則において確率概念が用いられているのです。ゆえに、このような操作主義的に明確ではない“確率概念”に基づいて、系の振る舞いに対し予言を行う現在の形の量子力学は、物理理論としては不完全であると考えられます。当研究室では、アルゴリズム的ランダムネスの概念装置に基づいて、ボルン則を操作主義的に明確化した代替規則を提示し、量子力学の完全化を行っています。

    工学の各分野の完全化

    工学にはさまざまな分野がありますが、確率モデルを用いている分野は少なくありません。当研究室では、上述の確率概念の操作主義的完全化をそれら工学の各分野に適用し、それら分野の操作主義的完全化を行っています。