レフュージアとは
絶滅の恐れのある生物を保全していくためのひとつの方法として、失われていく生育地から新たな生育地に移設するという方法があります。そのためには、絶滅の恐れのある生物を移設するためのレフュージア(避難地)が必要です。
レフュージアの森
東濃は現在、大規模な道路工事や開発が盛んに行われている地域に当たりますが、開発予定地域に絶滅危惧生物が生息する場合に、開発予定地近隣に適切な移設場所がない場合の受け皿としてセンター内の場所を提供する取り組みを行っています。
応用生物学部の南基泰教授の調査によると、センターには多くの東海地方固有の植物(東海丘陵要素植物)や水生昆虫が生育しています。それらのうちでも、カザグルマ、サギソウ、トキソウ、シラタマホシクサは岐阜県で絶滅危惧II類に指定されており、保全が急がれております。またいずれの植物、昆虫も開発予定地に生育が確認できた場合には、生育地保全、移設が必要となります。センター内の東海地方固有の湿地生態系を保全するためには、水源地の開発は避けなければなりません(下の図の赤線内エリア)。
他の地域から新たな個体群を移設すると、もともと生育している同種の個体群との間で交雑が起こり、地域固有の遺伝的特性が失われるという問題があります。そこでセンター内の同種の個体群と交雑することのないように、移設した生物を「レフュージアの森」に隔離して保全していきます。
レフュージアの森に受け入れ、保全していくことによって、地域絶滅を防ぐだけでなく、地域の環境保全研究の場所としての活用を目指します。
レフュージアの森への導入例
<シデコブシ>
2023年の3月末にレフュージアの森を訪れると、移植株の横で1984年に植樹されたシデコブシが白く美しい花を咲かせていました。
翌4月には2022年12月に移植された株が、しっかりと芽吹いているのが確認できました。
<ミカワバイケイソウ>
レフュージアの池のほとりにミカワバイケイソウの複数の株が移植されました(黄色の目印の根本)。
<ヒメカンアオイ>
レフュージアの森の広い範囲に、多数のヒメカンアオイが移植されました。
地面に接するように咲く暗紫色で筒形の花が確認できました(画面中央)。
<カザグルマ>
レフュージアの池のほとりに、カザグルマの複数の株が移植されました(画面中央)。
確認できたのは一輪のみですが、移植株が開花した痕跡が観察されました。