金政 真

エコとバイオのプロフェッショナルになれる場所

お知らせ

    環境生物科学科
    金政 真

    環境政策に必要なのは・・・

    「環境」という名前のあるこの学科のページを訪問してくださった皆様は、日常生活でも環境問題のニュースに興味をお持ちであることでしょう。近年は一般の方々のなかでも、環境問題に配慮した行動をとることがトレンドになっています。このような流行は別にしても、環境問題が年々深刻化していることには違いなく、いろいろな面で積極的に対応していく必要がある時代となっています。しかし、理論だけに基づいた極端な環境問題対策を強行するとコストが掛かり過ぎたり生活に不便が生じるため、社会での理解が得られません。そこで行うべきは現実的な環境対策であり、それを指揮・実行するための知識と技術を持ったプロフェッショナルが必要とされます。

    環境対策を行うには、まず環境問題を正しく知る必要があり、そのためには生物や化学などの基礎知識とそれらを利用した応用科学の知識が要求されます。中部大学には、これらをそれぞれ基礎から丁寧に教えてくれる各分野の先生が揃っており、エコのプロフェッショナルを目指す方には最適の環境といえます。エコのプロフェッショナルは、製造業やサービス業などの全ての企業人、公務員などとして必要ですし、政策に決定力のある政治家にも本当の意味でのエコのプロフェッショナルが入っていくべきでしょう。また、人々に最新の知識を供給するには研究者が必要ですが、中部大学には高度な知識・技術を学ぶための大学院もあります。また、大学院修了者は研究者の卵と見なされるだけではありません。高度な知識と自分で計画・実行する力を期待され、近年では企業の採用も研究職や開発職では修士号を持っていることが条件となりつつあります。中部大学に入学してエコについて学べば、就職にあたっての選択肢が広くなることでしょう。

    エネルギー問題と環境問題を同時に解決する!

    では、実際に中部大学での私の研究を一つご紹介しましょう。専門は応用微生物や分子生物学で、主にカビなどの微生物を扱っています。カビといえば悪いイメージがあるかと思いますが、カビは重要な酵素を分泌するので大昔から清酒などの醸造に利用されてきた身近で重要な微生物です。カビのなかには、樹木のセルロースを分解するための酵素を分泌するものがいます。このカビを利用すればセルロースからグルコースを得ることができ、このグルコースは石油の代替燃料であるバイオエタノールの原料となります。バイオエタノールは使用しても二酸化炭素を増加させないため最近テレビ等でも話題になっていますが、現在はトウモロコシなどのデンプンから作られています。近年の原油価格高騰などによるバイオエタノールの需要拡大によって、私たちの食糧であるトウモロコシなどが不足して価格が上昇する騒ぎになっています。これに対し、セルロースからバイオエタノールを生産する方法は人間の食糧問題とは無関係ですが、まだセルロース分解法が完全には確立されていないという難点があります。そこで中部大学では、最新の遺伝子工学を利用してセルロース分解微生物の能力を向上させて、エネルギー問題と環境問題を同時に解決する方法について教育や研究を行っています。