南 基泰

「立って、しゃがんで、寝転がって」
— フィールドワークのすすめ —

お知らせ

    環境生物科学科
    南 基泰

    私の研究室の主テーマは、「植物の多様性の解明とその保護および利用法開発」です。このテーマを軸に現在次のような研究テーマがあります。

    1. アジア地域の薬用植物の種生物学的関係と医薬品原料の開発
    2. 植物由来食材のDNA鑑定法の確立
    3. 東海丘陵要素植物の保護と増殖ための調査研究(中部大学恵那キャンパスを中心に展開)
    4. 阿蘇の薬用植物の種多様性保護
    5. チベットのプマユムツォ湖周辺の植生調査

    チベットのプマユムツォ湖畔にて。8月なのにさすがに5000mの世界では防寒着が必要。東海大学のチームと10日間この湖畔でキャンプ生活をおくりながら、植生調査をしました。大気圧は地上の半分。それに毎日雪が降ります。

    研究室の主要テーマを見てわかるように、「植物」であったら野草、薬草、野菜など関係なく私や学生が興味を持ったものはなんでも研究課題にします。そのために、研究室内には多種多様な植物のサンプルや標本がいつもころがっています。植物を主体としたフィールドワークの好きな学生は、是非うちの研究室に来て下さい。

    私の研究室の最大の特徴は、「自分の研究材料は自分で採集する」ということです。時に私と、時に学生だけで出かけることも多々あります。活動範囲は、中部圏のみでなく、時に海外にまで行き採集することもあります。これまでにも中国四川省、ネパール、サハリンなどで研究材料を採集しました。海外での植物調査はなかなか過酷なものがありますが、海外の自然に触れ、日本の自然との共通点と相違点を感じ、現地の人々の生活、そして食生活に触れると、自分の中にいくつもの琴線があったことに気づき始めます。すると、「日本って本当にいい国だったんだ」と分かり始めます。研究室に植物を持ち帰り、海外の植物と日本の植物を形態や遺伝子のレベルで比較すると、地図に引かれた国境とはまた別の国境が見えてきます。

    サハリンの黒川湿原でモウセンゴケの調査中。
    湿原の真ん中を通るパイプライン工事のために前進できなくなってしまい、みんな途方に暮れる。

    ネパールのアンナプルナなバックに記念写真。雨季(8月)は早朝にしかヒマラヤが顔だしません。
    みんなで早起き。目的の植物が採れなくても、この風景に出会えただけでも満足。

    「植物の多様性」のおもしろさは、なかなか言葉では通じません。植物に接する時は、「立って、しゃがんで、寝転がって」そして「観て、嗅いで、味わって、聞いて、触れて」みてください。そうすると自分の中にある、何本もの琴線がいろいろな音色を奏で始めます。

    補足:山野草早分かり写真辞典のサイトにも私の研究室の活動記録が掲載されています。是非一度は訪れてみて下さい。

    • ただいま調査中。「立って、しゃがんで、寝転がって」そして「観て、嗅いで、味わって、聞いて、触れて」