禹 済泰

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    応用生物化学科
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    身近な天然素材から「くすり」や機能性食品成分を見付けよう
    身近な天然素材から「くすり」や機能性食品成分を見付けよう

    「薬食同源」とは

    古くから人々は、身近な天然素材を「くすり」としてだけではなく、食物として用いて来ました。「くすり」と食の材料の源は同じであることを意味する「薬食同源」が、健康の回復や維持および向上に欠かせない思想でした。最近、この「薬食同源」思想を科学的に解明しようとする試みが行われています。特定の病気の回復や健康の維持および向上を目指した天然素材の成分を「くすり」とし、「くすり」に近い働きを持つ食品成分(機能性食品成分)を健康食品(サプリメント)として開発することが注目を集めています。

    身近な天然素材から「くすり」や機能性食品成分を見付けよう

    身近な天然素材(微生物、薬用植物、きのこ、木の実や花等も含む)からさまざまな病気の予防や治療ができる「くすり」や機能性食品成分を探しています。これまでに、微生物が作る化合物から、骨を破壊する破骨細胞を狙い打ちで殺す「くすり」候補の化合物を発見し、また、薬用および食用素材から骨量を増やす「くすり」と機能性食品成分を発見しました。それらを骨粗鬆症や歯周病などの骨の病気に応用するために、現在さらに研究を進めています。さらに、肥満や糖尿病などの生活習慣病の治療に応用できる「くすり」や予防に役立つ機能性食品を見付け出し、その有効成分を精製・単離し、化学構造を決定するとともに、細胞や個体レベルでの作用メカニズムを明らかにして臨床応用の可能性を探っています。

    身近な天然素材から多くの「くすり」が発見され、病気の予防や治療に使われています。微生物から、抗生物質であるペニシリン、高脂血症の「くすり」であるスタチン、臓器移植に使われる免疫抑制剤であるFK506が、また、生薬植物からは抗癌剤であるタキソールが発見されました。また、たまねぎおよびみかんの皮から、それぞれ機能性食品素材ケルセチンおよびノビレチンが開発されました。身近な天然素材から「くすり」や機能性食品成分を見付けるほど楽しいことはありません。是非、最先端の研究環境と素晴らしい教育環境が整った応用生物化学科で勉強してみて下さい。