墨 泰孝

私たちの生活を静かに支える土壌

お知らせ

    応用生物化学科
    墨 泰孝

    縁の下の力持ち「土」

    皆さんは日常生活の中で、土について意識することがありますか?街中で土が露出している場所が少ない昨今、多くの皆さんにとって、土はあまり馴染みのない存在かもしれません。小学校から高校までの理科の教科書を眺めてみても、土の働きや機能について書かれた箇所は少なく、学校の授業で土について体系的に学ぶ機会はあまり無いようです。このように、普段あまり目立たない存在である土ですが、私たちが消費する食料の生産や生態系を維持するために欠かす事ができない役割を担っています。

    土の機能として最も代表的なものは、有機物を分解し、植物に養分を供給することです。例えば、落ち葉や動物の死骸は時間をかけて土の中で分解され、養分として蓄えられます。植物はこの養分を根から吸収することによって生長します。さらに、生長した植物を動物が食べることで食物連鎖が成立します。土の別称である「土壌」には、土地がよく肥える、穀物がよく実る、といった意味が含まれることからも、その重要性が分かります。その他にも、有害物質の分解や水質浄化など、土は様々な機能を担っています。

    土の働きを担う土壌微生物

    これまでに紹介した土が持つ様々な機能は、土の中に生息する微生物によって支えられています。土1gには1億匹以上の微生物が生息していますが、その多くは植物根が主に存在する深さ30cmまでの範囲に生息しており、植物と密接な関係を築いています。私の研究室は、このような土の機能を支える多様な微生物同士の関係や個々の働きを明らかにし、それを応用することで農業生産や環境保全に貢献することを目指しています。

    応用生物化学科を志望する皆さんへ

    土の環境変化や微生物の働きについて理解するためには、生物学と化学に関する基礎的な知識を習得することが必要です。応用生物化学科では、高校における学習内容の確認から始まる入門科目から高度な専門科目まで、生物学と化学に関する幅広い講義科目や実習が用意されており、土壌学をはじめとする様々な分野の専門家になるための基礎知識やスキルを高めることができるカリキュラムが用意されています。

    生物や化学、土壌微生物学に興味を持った皆さんと一緒に研究できることを楽しみにしています。

    屋外温室で栽培中の試験作物
    屋外温室で栽培中の試験作物