授業改善アンケートを実施 ―応用生物学部有機化学の場合 ―

お知らせ

    応用生物学部応用生物化学科
    准教授 堤内 要

    有機化学は、中部大学だけでなく多くの大学において大学院の受験科目に挙げられる化学系の基礎科目である。内容は既に確立しており、現カリキュラム(来年度から改正予定)で一通り教えるには時間が足らず、理解度を深めるための演習は全くできない。そんな事情もあって、できるだけ効率の良い授業をしようと、これまでに授業ホームページの立ち上げやe- ラーニングシステムの活用に取り組んできた。昨年度は、毎年行われる授業改善の一環として、大学が整備してくれた授業改善アンケートシステムを積極的に活用してみた。アンケートの内容は極めてシンプルで「説明はわかりやすかったか」など3項目のみ。講義の翌日までアンケートを受け付け、3日後には私からの回答を公開した。面白かったのは、回答してくれたほとんどの学生が自由記述欄にコメントを残してくれたことである。そこには、うるさい学生を注意してほしいなどといった、いわゆる苦情が多く記されていた。それに対して私は、対策としてどんな工夫をしてゆくかなどの自分の考えを、次回の授業の冒頭に述べた。こんなことを毎回繰り返しているうちに、徐々にアンケートへの回答数(つまり苦情の件数)は減少していった。

    考えてみると、大学では良くも悪くも目立つ学生が注目され、比較的おとなしい学生の気持ちはどこにも届かないまま葬り去られてしまうことが多いように思う。今回、授業に関して、授業改善アンケートという形で気兼ねなく意見を伝えられるようになったことは、彼らにとって大きな変化だったのではないか。少なくとも私は、このアンケートを通して教員と学生が共に授業を作りあげているような印象をもった。学生も同じような気持ちを共有してくれているといいのだが…。私の授業づくりはまだまだ道半ばである。今後も与えられた環境をできるだけ活用して、少しでも学生のためになる講義ができるよう努力したいと思う。

    ANTENNA No.94 (2009年10月)掲載

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