コスト意識を身に付けて新たな価値創造を

お知らせ

    経営情報学部経営会計学科
    教授 山北 晴雄

    私は、会計学の講義やゼミナールを担当している。会計学の役割には、大きく「会社がどれだけもうけを出したのかを計算すること」「会社がもうけを出すために役立つ情報を作成し、提供すること」の2つがある。前者を財務会計、後者を管理会計と呼ぶが、私が担当しているのは後者の管理会計の分野である。その中に『原価計算論』という講義がある。会社が製品を作って売るためにかかったもの、これを原価あるいはコストと呼ぶが、そのコストの計算方法を学ぶのが『原価計算論』である。

    会社の売り上げからコストを引いたものがもうけ。もうけを増やすためには売り上げをあげるか、コストを下げるかしか方法はない。ただし、コストはただ下げればよいわけではなく、高いコストでもそのコストをさらに上回る売り上げをあげればよいのである。街にはたくさんのハンバーガーショップが並ぶが、100円のハンバーガーから1,000円を超えるものまでさまざま。これらはハンバーガーの値段だが、この値段からコストを引いたものがもうけだから、値段の高いハンバーガーはそれなりにコストも高いはずである。高級牛肉や有機野菜、秘伝のソースを使っている、高い技能を持つ職人がいる、他社にない特殊な作り方をしている、などなどコストが高くなる要因は多様である。

    コストは、その製品がどんな材料を使って、どんな人たちが、どのように作っているのか、製品の作り方が分からなければ計算できない。つまり、製品のコストを計算するためには、まずその製品の作り方を知ることが必要となる。従って、私の講義ではできる限り「ものづくり」の説明に時間を割いている。また、ゼミナールでは極力、工場見学も行う。

    学生の皆さんはそのほとんどが会社に就職する。就職後、「自分の給料は会社のコスト」というコスト意識を強く持つと同時に、給料であるコストを上回る価値を会社に提供できる、価値創造型の学生を育てていきたいと考えている。

    ANTENNA No.128 (2015年5月)掲載

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