国際関係学部中国語中国関係学科
助教 伊藤 正晃
中国語中国関係学科が開設された3年前、本学に赴任した。中国語講師として非常勤を始めてから数えると6年が経過したことになる。これといった授業スタイルがまだ定まっているわけではないが、非常勤時代からずっと次の信念を抱いている。「難しいだけで終わらない、一方向にしない、学生の雑談を無視しない」。これを自分の約束事として教壇に立っている。本学では、1年生から3年生向けの中国語習得のための講義および中国語研究の講義を担当している。研究分野が中国語音声学であるため、学生の発音習得にはひときわ力を注いでいる。ま た、語学を教授する上で必要な統語にも研鑽(けんさん)を積み、学生の指導に当たっている。本稿では、音声および統語の2つの面におけるアプローチを取り上げる。
まず、音声面における発音の指導では、実際に学生個人の発音を録音し、実験音声学的に分析し、図やグラフによって可視化している。これにより、学生が自身の声に意識を向けることが できる。学生が自身の声のデータを見て、他の学生と見比べるなどの行動を見る限り、音声に対する意識が高まったことがうかがえる。その上で、日本語と中国語の相違点などを明確にすることで、音声への意識がさらに高まり、学生の音声習得の意欲につながっている。
次に、統語面における指導では、主に文の成分および品詞を扱うが、用語や意味を知らない学生が半数近くいる。はじめに、日本語の例を挙げて用語や品詞の意味を説明する。そして、中国語の語順を理解させるために、授業では色分け法を用いている。中国語における文の成分である「主題(主語)」「述語」「賓語(目的語)」の語順を、色分けという視覚に働き掛けた方法で説明している。文の成分だけでなく、それを構成する語の品詞にも色分けをしている。学生からは文の構成が理解しやすくなったと好評を得ている。
語学を「易」しく指導する方法を求めて、日々追究しているところである。
ANTENNA No.109 (2012年4月)掲載