人間力創成総合教育センター
准教授 梅嵜 周毅
私は、これまでスポーツ競技者、指導者を長い間続けてきました。そこで経験した視点から言うと、スポーツは楽しむことがスタートです。競技者はルールや技術、戦術の基礎・基本を学び、ゲームの中で自ら考え、工夫し楽しむこと、指導者は競技者が楽しくプレーできるような指導を考えることが大切だと思います。
私が行っている健康科学の授業では、始めに多目的に誰にでもできるスポーツを提示し体験してもらいます。次に学生たちがこの中の経験したスポーツで、楽しく、興味をもったものを選択させています。中にはスポーツは苦手、嫌いだという固定観念を持った学生もいますが、そんな時は、個別に嫌いな理由を聞いて少しでもネガティブな感情を緩和できるように話をし、皆と一緒に取り組めるようにやっています。しかし、授業の全てがうまくいくわけでもなく、うまくいかなかった時には、同僚の先生方と授業内容を共有して、反省・課題・進め方などの意見を交わし次に備えるようにしています。学生にはスポーツを楽しむことと同様に自分の体力レベルを認識し、定期的にできるスポーツは何か、健康でいるためにはどのくらい体力をつけたほうがいいのか、体力テストの結果や、運動強度のデータを提示しながら一人一人が自ら目標・計画が立てられるような指導を心掛けています。
また、スポーツから学べる礼儀、コミニュケーション、自主性、忍耐力などは私が社会に出て非常に役に立ったことだと実感しています。今の自分をつくり上げたのもスポーツを続けてきたからだと言っても過言ではありません。学生にも授業を通して人としても成長できるようにこれまでの自分自身の経験談も踏まえながら分かりやすい言葉で伝えていきたいと考えます。
健康科学の授業の目的の中に「体力の認識」「健康の意識の啓発」「運動の継続」「運動プログラムの作成」とあります。今、社会において、生産性向上や医療費抑制のために社員の健康作りの後押しをするなどの健康改善策を推進し、健康宣言する企業が多数存在しています。生命保険会社においても健康優良割引といったプランなどが打ち出されており、社会全体が健康への意識を促しています。まさしく健康科学の目的を学生に理解してもらうことが社会への対応力を身につける基礎だと考えています。これからも若い学生と一緒に、健康に対して意識を持てるように授業を通して指導に力を入れていきたいと思います。
ANTENNA No.145 (2019年7月)掲載