学生参加型の授業を目指して

お知らせ

    経営情報学部経営学科
    准教授 山下 裕文

    私が担当する『生産管理』は、多くの学生にとってはなじみが薄く、イメージがしにくい分野である。学生がアルバイトを通じて知ることができるのは、小売や外食産業など一部の業種に偏っており、製造業やものづくりに触れる機会は少ない。
    そこで授業ではDVD等の視聴覚教材でものづくりの現場や改善活動を見てもらい、それを元にした双方向の議論を行っている。ほかにも紙と割り箸を使った簡単な製品を作ってもらい、生産管理に求められる機能を学習するなど、学生参加型の授業を目指している。

    そうした目的で毎年実施しているのが、問題発見技法である「特性要因図」の作成演習である。特性要因図では、問題点や課題(特性)の要因を魚の骨の形に整理して議論を進める。QC サークル(同じ職場内で品質管理活動を自主的に小グループで行う活動)などで利用される手法であり、通常は模造紙や白板などを使って作成する。授業で は1チーム3~4人で、A3の紙にまとめさせる。テーマは自分たちで考えさせるが、ここで出てくる学生の発想は実に自由である。「おいしいカレーを作るには」「サッカーが上手くなるには」といった身近なテーマに始まり、「授業に遅刻するのはなぜか」「単位を取れないのはなぜか」といった授業や勉強に関するもの、「大学祭を成功させるには」といった学生らしいものもある。中には「幽霊にあう機会を増やすには」といたユニークなテーマもある。多くの学生はワイワイと、実に楽しそうに参加しており、一方向の講義の時には見られない明るい表情を見せている。作成した特性要因図は、できるだけ多くのチームに発表させて“ハレの場”を与えることもしている。

    受講者が150人の大教室講義では、双方向の授業を行うことは容易ではない。発言者が偏る、私語が増えるなど頭の痛い問題も少なくないが、学生が授業に参加できる工夫は必要と考える。私の授業づくりは試行錯誤の連続 ではあるが、学生と協力しながら少しでも良い授業に近づけていきたいと思う。

    ANTENNA No.99 (2010年8月)掲載

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