「使える」が実感できる授業を目指して

お知らせ

    工学部応用化学科
    准教授 山田 直臣

    現在、私は化学工学の授業を中心に担当しています。化学工学は数学を多用します。化学系の学生は数学に苦手意識を持っていることが多く、教えるときに工夫が必要です。

    私は、数式の導出よりも使い方に重点を置いて授業を進めています。その理由は、数学が苦手な学生は導出の過程で消化不良を起こすからです。もうひとつの理由は、エンジニアにとっては数式の使い方が重要であると考えるからです。そこで私は、基本公式の提示、演習、基本公式の導出の順で授業を進めています。初めに基本公式を示し、どんなことができるのかを示します。その後、平易な演習問題で使い方を体得させます。こうすると、数式に興味が持てるようです。最後に数式の導出に入ります。導出の際には、厳密性は多少犠牲にし、直観的に理解できるように説明しています。単元の終わりには、これまでの解法のまとめプリントを配布し、頭の中を整理できるようにしています。このファイルはTORA-NETのライブラリにもアップし、いつでも参照できるようにしています。解法のまとめは学生に好評なようです。

    もうひとつ重点を置いているのは、計算で得た数値の吟味です。正しく計算することは重要ですが、計算はあくまで手段だと思います。エンジニアにとっては、計算結果を吟味し、設計・開発に生かすことが重要だと考えています。ですから、演習問題の解説の際には、得られた値がどれほど大きいのか、あるいは小さいのかを学生に問いかけています。例えば伝熱の問題であれば、得られた伝熱量とエアコンや電子レンジの消費電力等との比較もしています。こういった比較は学生にとって面白いようで、興味をもって行っています。

    自分なりに工夫をしていますが、今も試行錯誤中です。アンケートや学生との対話を通じて少しずつ改善しています。このような改善を通じ、「知っている」だけでなく「使える」知識を修得できる授業を目指していきたいと考えています。

    ANTENNA No.124 (2014年10月)掲載

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