いかにして生物学の面白さを伝えるか?

お知らせ

    応用生物学部環境生物科学科
    教授 大塚健三

    私が担当している「動物生理学」(毎年の受講生は約150人)の授業について、いかにして生物学の面白さを学生に伝えるか、そのための講義内容や授業の進め方の工夫について述べたい。

    授業はパワーポイントを使って行っているが、配布資料には1枚のスライドあたり必ず空欄を設けて授業中に書き写させる(作業させることで私語や居眠りの防止になり、学生を授業に参加させることになる)。

    教科書に沿って授業を進めていくが、教科書にはないさまざまな図表や動物の写真などを多用し、講義資料は見ても楽しく飽きないように工夫する。講義資料の作成には手間暇をかける。YouTubeのちょっと変わった生き物の動画も利用する。

    学生には基礎学力に大きな幅があるので、1回の授業で10~20%位はほとんどの学生が知っているような内容で、復習的なことを話す。授業の50~70%は学部学科にふさわしい内容、最後の10~20%は最新の研究成果などを分かりやすく紹介し、学問の面白さを伝えるように心掛けている。そうすることで、「難しくて全然分からなかった」という学生もいなくなるし、「簡単で退屈な内容だった」という学生もおらず、多くの学生がある程度は満足でき、また学問に興味を持つようになるのではないかと考えている。その意味で、絶えず私も生物学関係の本を読んで勉強し、最新の情報(過去数年以内の英文総説など)にも目を配り、講義資料も毎年少しずつ改訂するようにしている。また、自分が生物について面白いと思っていること、不思議に感じていることなどを題材に入れる。身近な分かりやすい例やイメージしやすい比喩をうまく使う。自分が面白いと思わないと学生にも学問の面白さは伝わらない。その他の工夫については別の機会に。

    「生物を観察するのは面白い、生物学を勉強するのはもっと面白い、生物学を研究するのはさらに面白い」をモットーに今後も授業に取り組んでいきたい。

    ANTENNA No.120 (2014年2月)掲載

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