授業をデザインする

お知らせ

    人間力創成総合教育センター
    講師 中島眞吾

    光栄にも2019年度中部大学教育活動優秀賞を頂いた。これも私に関わってくれた学生のみなさんや同僚の先生方のおかげなのだが、この優秀賞を受賞したことで、今回、この原稿を執筆する機会を得ることになった。実は、私はこのANTENNAをいつも楽しみにしているANTENNAファンの一人である。原稿執筆の依頼が来たときは、「お、ついに来たか!」と密かに心が踊ったことを、まずは正直に記しておきたい。 

    さて、この原稿を書き進めるにあたって、あれこれ考えた末にたどり着いたトピックは「授業をどうデザインしているのか」だった。 

    「授業をデザインする」というのは、私が気に入っている言葉である。どの時間帯に何を、どう配置するのかといった具合に、キャンバスにデッサンをするようなイメージだ。大学院時代の恩師の印象的な言葉として、「目の前にいる生徒(学生)をよく観察して授業をデザインしなさい」というものがあった。教授法や教授理論を学び、応用することはもちろん大事だが、目の前の状況をしっかり認識し、把握することが最も大切なのだと解釈している。  

    授業をデザインする際には、学生の「気付き」を促すことを中心に置くようにしている。「あ、そうか!」「なるほど!」と思う瞬間がどれだけあるか。「気付き」の多い授業は単純に楽しい。どの授業においても、それぞれに必要な「気付き」がある。その「気付き」が促されるような授業構成を考え、具体的に形にしていく。学生同士のペアやグループで意見を出し合い、発表する時間を設ける。また、時には内容理解を深めるために関連映像や記事などを使い、刺激を与える。もちろん、提示するタイミングや活動内容、方法にはこだわりながら。 

    日々の授業では、そのデザインをもとに試行錯誤する。うまくいかない時もあるが、その時は反省し、修正する。この繰り返しである。これからも目の前にいる学生をよく観察しつつ、「気付き」の多い授業をデザインしていきたい。

     ANTENNA No.152 (2021年7月)掲載

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