臨床検査技術教育・実習センター
教授 野田明子
中部大学に着任して10年目に教育活動顕彰制度で表彰されたことは自分でも信じ難いことであったが、中部大学でご指導をいただいた方々や共に過ごした学生のおかげと感謝している。今回、「私の授業づくり」の原稿依頼をいただき、改めて自分の授業づくりについて考える機会となった。 私が授業で工夫しているというよりも、授業における私の役割は、学生が将来の目標を考えるきっかけを作ること、医療と研究の魅力を伝えること、受講する多くの学生が目指している国家試験をクリアするために楽しく持続的な学習意欲を引き出すことではないかと考えている。学生が興味を持ち、授業時間以外に自ら積極的に理解するために情報収集や学習を進めることができることに、私の授業がつながればうれしいと思う。例えば、医学の最新情報や社会との関わり、知識・技術の修得が将来どのように役立つか、私自身の臨床経験で印象的であったことなどを紹介している。授業後の簡単なレポートや一言コメントは予想外の内容も多く、授業における学生の興味・関心・問題を迅速に確認することは自己満足の授業にしないために大切な作業となっている。また、学生の発表や討論会を取り入れることにより、一方向の授業では把握することができない学生の魅力・素晴らしさを知り、褒めることが多くなり、さらに情報共有にも役立っている。 もう1つ講義で気にかけていることは、講義中の学生の目つきや表情の変化である。きらきら輝いている目つき、一方、疲労感のある目つき、耐え難い眠気に襲われている学生等さまざまであるが、その経過や背景から早期に対応することも有効な時間を過ごすために重要である。このように感じるのは私が循環病態学・睡眠医学を専門とするためかもしれない。2017年、本学に睡眠相談室が設置され、睡眠相談を担当している。睡眠に問題があり、大学生活に支障をきたしている学生の相談に応じている。 学生の意欲・レベルアップにより、大きな喜びを感じるとともに日々の励みになる。今年度はCOVID-19により新たな遠隔教育も行われている。国際化に向けた効果的な教育法が展開される転機になることを願う。将来幅広い分野で活躍できる学生の成長を楽しみに、満足度が高く、意欲の向上につながる授業を今後も目指したい。 | ||
ANTENNA No.150 (2021年1月)掲載