ライバルは三ツ星シェフ?!

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    人文学部英語英米文化学科
    講師 三上 仁志

    学生のおかげで、2016年度中部大学教育活動優秀賞を受賞した。優秀賞の受賞が、この原稿の執筆を依頼された理由である。依頼を受けた際、「顕彰の受賞につながったポイントを紹介してほしい」と頼まれた。さて、困ったことになった。授業に的を絞って考えた場合、私は、特に目新しい工夫や独創的なことをしていないからだ。

    私は、プロの料理人のような授業をしたいと思っている。料理人の目標は、対価に見合う料理を提供することだと思う(教育の分野に置き換えれば、満足度や効果の高い教育の実現だろう)。そのために、手元にあるさまざまな性質の素材(学生たち)を見て、その組み合わせで作れる料理法(授業の方法や展開)を考え、細かい技術を組み合わせて料理を作る(授業をする)。私の料理が口に合わない人を見つけたら、その理由を考えて新たな調理法を模索する(自分の知識や技術の幅を広げる)。そして、次の授業に臨む。これが、私の授業の全てである。どのような学生が授業に集まるかは、学部や学科に依存し、それは私が授業で使っている技術についても同様なので、詳しく書けない。しかし、このままでは釈迦に説法的な思考法の問題を述べているだけだ。困った。

    そこで、上の話を、顕彰の受賞と(多少)関係しそうな具体的なテクニックに変換してみたい。授業に研究の視点を持ち込むというのは、どうだろうか?学生の要望や弱点に対して仮説を立て、その達成や克服に有効そうな方法を考えて授業を行い、介入の効果を観察して、授業を自己評価し、これをくり返す。対称群は、さすがに作れないかもしれないが、このような方法は、われわれ大学教員は得意であるし、強みがあると思う。自分の分野の調査技術を生かし、授業を研究することは、ユニークで効果的な教育を達成する上で有効だろうし、遠く顕彰の受賞と関係する…と思う。

    ANTENNA No.140 (2018年4月)掲載

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